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【住宅業界の動向】公示地価、住宅地9年ぶり上昇 低金利けん引 日本経済新聞
国土交通省が21日発表した2017年1月1日時点の公示地価は全国平均(全用途)で前年比0.4%プラスと2年続けて上昇した。低金利でお金を借りやすい環境のもと、訪日客向け店舗やホテル用地の需要が高まった。全国の住宅地は0.022%プラスとわずかながら9年ぶりに上昇に転じた。
全国の最高地価は11年連続で東京都中央区銀座4丁目の「山野楽器銀座本店」だった。1平方メートルあたり5050万円と1年前に比べ25.9%上昇した。都心でミニバブルと呼ばれた08年を3割ほど上回る水準だ。もっとも、商業地の全国平均は08年の8割強の水準にとどまっている。
住宅地は前年の0.2%下落から下げ止まった。長引く低金利に加え、住宅ローン減税による需要の下支え効果もあり、総じて底堅く推移した。ただ商業地に比べ回復の勢いは弱く、三大都市圏の上昇率は0.5%と前年と同じ。都心などでは価格高騰でマンションの販売が鈍っており、大阪圏と名古屋圏の住宅地は上昇率を縮めた。
住宅地1万7909地点のうち上昇は34%、下落は43%と、なお下落した地点数が上回っている。通勤や買い物に便利な駅から徒歩圏内の地価が上がり、駅から離れた不便な場所の地価は下がるという二極化が全国的に広がっている。
三大都市圏を除く地方圏は商業地がマイナス0.1%、住宅地がマイナス0.4%だった。ともに25年連続の下落だが、マイナス幅は7年連続で縮まった。都道府県別にみると、商業地は奈良と岡山、住宅地は京都と広島が小幅な上昇に転じた。下落が続く地域もおおむね下落率は縮小し、商業地で2%以上の下落は秋田、新潟、鳥取、鹿児島の4県だけだった。
地域ブロックのなかで人口や経済活動が集積する中核的な地方都市が高い伸びを示す傾向はより強まった。新幹線や地下鉄といった交通インフラ整備のほか、再開発による利便性の高まりが地価上昇につながったケースが目立つ。
商業地の上昇率は札幌市が6.1%、仙台市が9.0%、広島市が4.7%、福岡市が8.5%だった。三大都市圏に比べると地価が安く、比較的高い利回りを確保できるとして投資マネーを集めている面もある。確保できるとして投資マネーを集めている面もある。
[2017/3/21 日本経済新聞 電子版]