スタッフブログ
2026.08.27
「え、この家ダメなの?」リフォーム屋が『絶対に買わない中古住宅』とは。
「え、この家ダメなの?」
「中古住宅を買って、自分好みにリノベーションしたいな」
「新築より費用を抑えられそうだし、中古+リノベも選択肢に入れておこう」
そんなふうに考えて、中古住宅サイトを眺めていると、ときどき、こんな物件が出てきます。
「これ、安くない?」
駅からも、それほど遠くない。土地もそこそこ広い。
建物は少し古いけれど、どうせリフォームするつもり。
写真を見る限り、そこまで傷んでいるようにも見えない。
周辺の中古住宅が2,500万円くらいなのに、この家は1,800万円。
700万円も、安い。
こういう物件を見つけたら、テンションが上がると思います。
私でも、お客様の立場ならそうです。
「700万円安く買えるなら、その分リフォームに使えるじゃん。」
キッチンを変えて。壁を抜いてLDKを広くして。
お風呂も新しくして。床も好きな雰囲気にして。
外観も、少し整える。
すると頭の中では、
「新築より安く、自分たちらしい家ができるかも。」
という暮らしが、見え始めます。
中古住宅を買ってリノベーションする魅力は、まさにここです。
私たちリフォーム・リノベーションの専門チーム「nattokuリノベ」も、この選択肢自体には大賛成です。
ただ・・・
もし今、あなたが見つけた家が、「周辺より、かなり安い中古住宅」だったら。
申し訳ないですが、一度だけ、そのワクワクを止めさせてください。
なぜなら私たちは、その同じ物件を見て、
「安いですね」ではなく、
まったく別のことを考えているからです。
場合によっては、
「この家は、買わない方がいい。」と判断します。
しかもそれは、誰が見ても分かるようなボロボロの家とは限りません。
むしろ厄介なのは、普通に見れば「ちょっと古いけど、リフォームすれば良さそう」と思える家。
だから、なんです。
最近、こんな中古住宅がありました
先日、ある中古住宅の情報を見る機会がありました。
価格を見ると、周辺相場より安い。
写真も、決して悪くありません。
少し古さはある。
でも、「まあ、ここは直せばいいかな」と思えるくらい。
もし、私が中古住宅を探しているお客様だったら、おそらく一度は見学する候補に入れます。
なぜなら、「安く買って、浮いた予算で好きなように直せそう」に見えるからです。
ところが。
少し視点を変えて、リフォーム工事をする立場で、同じ物件情報を見ていたら、まったく違うところで手が止まりました。
お客様「この壁を取れば、広いLDKにできそう」
中古住宅を探していると、写真を見ながら想像します。
「この和室、いらないな」
「この壁をなくせば、リビングとつながりそう」
「ここまでLDKにしたら、20帖くらいになるんじゃない?」
中古リノベで一番楽しい時間の一つです。
完成した姿を、頭の中でつくっていく。
私たちもリフォーム会社ですから、当然、同じことを考えます。
私たち「この壁、本当に取れるのか?」
ただし、私たちはその壁を見たときに「取ったら広くなる」だけでは終わりません。
今回の物件で、一つ引っかかったのが、
建物の図面が確認できないことでした。
「え、図面がないだけでダメなの?」
と思われるかもしれません。
もちろん、図面がない=買ってはいけない家、ではありません。
古い住宅では、図面が残っていないことも珍しくないんです。
でも、問題はその先。
たとえば、あなたが購入後、
「この和室とリビングをつなげて、大きなLDKにしたい」
と思っていたとします。
写真では簡単にできそう。
不動産サイトの間取り図を見ても、できそうに見える。
ところが調べてみると、
柱が抜けない。
筋交いが入っている。
構造上重要な壁だった。
補強しなければ取れない。
ということが、あります。
場合によっては、
「この間取りにしたくて、この家を買ったのに、そのリフォームができない」
ということさえあります。
お客様には、「自由にリノベーションできそうな家」に見えている。
でも私たちには、「やりたいリフォームが本当にできるか、まだ分からない家」に見えている。
同じ家を見ているのに、見えているものが違うんです。
お客様「700万円安いなら、その分リフォームできる」
次に、おそらく多くの方がこう思います。
「とはいっても、周りより700万円安いんですよね?」
「多少お金がかかっても、その分直せばいいんじゃないですか?」
その考え方は、とても自然です。
むしろ中古+リノベーションを検討する理由の一つでしょう。
安く買って、その分を自分たちの暮らしに使う。
魅力的です。
私たち「その700万円、本当に自由に使える700万円なのか?」
でも私たちは、700万円安い物件を見たとき、
「700万円リフォームに使える」とは考えません。
あなたが使いたいのは、おそらく、
キッチン。お風呂。洗面。床。内装。収納。間取り変更。
こうした、「暮らしを良くするためのリフォーム」だと思います。
では、その700万円の中から、
屋根。外壁。防水。給湯器。配管。シロアリ。雨漏り。基礎。耐震。
といった、「この家に住むために、やらなければならない工事」に
300万円、400万円、500万円とかかるとしたら、どうでしょう。
700万円得したつもりで買った。
でも実際には、
キッチンは妥協。床はそのまま。間取り変更もあきらめる。外観まで予算が回らない。
そして最後に、
「あれ? これなら最初から、もう少し高い中古住宅を買った方がよかったんじゃない?」
となる。
私たちが中古住宅選びで避けてほしいのは、これです。
お客様「ちょっと天井にシミがあるだけ」
中古住宅の内見で、天井に少しシミがあったとします。
おそらく多くの人は、「雨漏りでもしたのかな?」と思うでしょう。
でも築年数も経っている。
リフォームするつもりだし、「まあ、ここも直せばいいか」となるかもしれません。
私たち「原因がまだ特定できていない水の侵入跡」
私たちは、そこで止まりません。
たとえば今回のケース、
1階の天井に雨染みらしき跡があり、その上には2階の部屋がある。
そうなると、
「単純に屋根から入った水ではなさそうだな」
と考えます。
では、どこから入ったのか。
外壁なのか。窓まわりなのか。バルコニーなのか。配管なのか。
もし外壁側から水が入っているなら、
壁の中の断熱材はどうなっているのか。下地は傷んでいないか。
どこまで開けなければ、原因が分からないのか。
お客様には、「天井のシミ」に見える。
私たちには、「原因がまだ特定できていない水の侵入跡」に見える。
ここでも、同じものを見ているのに、意味が変わります。
お客様「外壁は少し古いけど、塗ればきれいになりそう」
外観もそうです。
少し色あせている。築年数を考えれば、まあこんなもの。
「せっかくだから好きな色に塗り替えればいいよね」と思います。
もちろん、それだけなら問題ありません。
私たち「美観の問題なのか、防水性能まで確認すべき状態なのか」
でも私たちは、色より先に、
シーリングが切れていないか。塗膜が剥がれていないか。ひび割れがないか。水が入りそうな箇所がないか。
を見ます。
同じ「外壁リフォーム」でも、色を変えるための工事なのか。家を守るために必要な工事なのか。
それによって、意味も予算も、まったく変わります。
お客様「中を全部きれいにすれば、新築みたいになりそう」
これも、中古住宅でよく感じる魅力です。
床を張り替えて。内装を替えて。設備を交換して。照明も変える。
確かに、室内はかなりきれいになります。
場合によっては、見た目だけなら新築のようになる。
私たち「きれいにしたら見えなくなる場所」の方が気になる
でも私たちが気になるのは、きれいにしたら見えなくなってしまう場所です。
床の下。壁の中。天井裏。配管。構造材。断熱。
表面は、あとからいくらでもきれいにできます。
だからこそ、きれいになる前にしか確認できないものの方が重要だと、私たちは考えます。
私たちが怖いのは、「古い家」ではありません
築30年だからダメ。築40年だから危険。
そんな単純な話ではありません。
古くても丁寧に手入れされてきた家はあります。
逆に、築年数が比較的新しくても、確認した方がいい家もあります。
私たちが気にするのは、
築年数そのものより、「買ったあと、どれだけ想定外が出そうか」です。
一つひとつなら、解決できることもあります。
でも、図面が分からない。水の侵入跡がある。外壁も確認が必要。設備も交換時期。
床下も見てみたい。法的な条件も確認したい。
と重なってくると、
「安く買えた」というメリットより、購入後の不確定要素の方が、どんどん大きくなっていきます。
そしてリフォームの現場では、
「ここも直した方がいいですね」
「開けてみたら、こちらも必要でした」
「この工事をするなら、ここまで一緒にやった方がいいです」
ということが、本当によくあります。
だから私たちは販売価格だけを見て、
「700万円安い。お得ですね」とは、言えないんです。
お客様「今、家が建っているから大丈夫ですよね?」
さらに、もう一つあります。
それが、この家の将来です。
中古住宅を買うとき、多くの人は今の暮らしを考えます。
でも10年、20年住めば、
増築したくなるかもしれない。建て替えたくなるかもしれない。子どもに土地を残したいと思うかもしれない。
私たち「この先も、同じように使える土地なのか」
そこで私たちは、道路との接し方。建ぺい率・容積率。過去の増築。現在の法令との関係。なども確認します。
「今ここに家が建っているんだから、将来も普通に建て替えられるでしょ?」と思いたくなります。
でも、必ずしもそうとは限りません。
ここは誤解してほしくないのですが、古い家だから問題がある、という意味ではありません。
法律や基準は時代とともに変わります。
建築した当時は適法だった建物でも、現在は同じ条件で同じ建物を建てられないことがあるんです。
お客様には、「今、普通に家が建っている土地」に見える。
私たちは、「この先も、同じように使える土地なのか」まで、確認したくなります。
だから、私たちはこの家を「安い」とは判断しません
最初に戻ります。
周辺相場2,500万円。この物件1,800万円。700万円、安い。
確かに、数字だけなら魅力的です。
でも私たちが知りたいのは、
購入価格ではなく、住み始めるまでに全部でいくらかかるのか。です。
考えるのは、
物件購入費 + 必要修繕費 + 希望するリノベーション費 + 諸費用
まで含めた総額。
それを計算した結果、周辺のもう少し状態の良い中古住宅との差が、小さくなることもあります。
場合によっては、新築との価格差まで、想像していたほど大きくなくなるかもしれません。
そうなると、この家は、「安い家」ではありません。
正確には、「最初の値札が安い家」だったということになります。
少し強い言い方ですが、
今回のような条件で、不確定要素が価格差に対して大きいと判断したなら、
私たちは、その中古住宅を買いません。
古いからではありません。中古だからでもありません。
700万円安く買えるメリットより、買った後に分からないことの方が大きいから。それだけなんです。
「じゃあ、中古住宅って怖いんですね」
ここまで読むと、そう感じる方もいると思います。
でも、違います。
中古住宅そのものを、怖がってほしいわけではありません。
良い中古住宅は、たくさんあります。
丁寧に維持されてきた家。構造がしっかりしている家。
古くても、必要な手入れをすればまだまだ暮らせる家。
新築ではなかなか出てこない、良い立地の家。
中古住宅だからこそ手に入る価値は、確かにあります。
私たちが避けてほしいと思うのは、
「知らないまま買うこと」。ただ、それだけです。
一番つらいのは、買ったあとに知ること
「この壁、取れないんですか?」
「ここ、雨漏りしていたんですか?」
「外壁もやらないとダメなんですか?」
「この増築部分は、どうすればいいんですか?」
「思っていたリノベーション、予算内でできないんですか?」
こうなるのが、一番つらい。
だって、家を買ったときには、「ここでどんな暮らしをしよう」と考えていたはずです。
ソファを置いて。大きなダイニングテーブルを置いて。子どもが走り回って。友人を呼んで。
そんな新しい暮らしを想像していたのに、家を買った直後から、
「直さなければならない場所」と「予定外の出費」の話ばかりになる。
これは、できれば避けてほしいと、心から思います。
中古住宅は、「買った後」ではなく「買う前」に相談してほしい
実際には、中古住宅を購入してから、「リフォームしたいんです」と相談に来られる方が多いです。
でも、私たちの本音は逆。
買う前に、見せてほしいんです。
購入したい物件が、決まっている必要もありません。気になる物件のURL一つでも構いません。
「この家、どう思いますか?」そのくらいからで、大丈夫です。
不動産会社には、不動産会社の専門領域があります。
物件。土地。契約。権利関係。
一方、私たちリフォーム・リノベーションの専門家が見るのは、
「この家を買ったあと、何を直す必要があって、何ができて、最終的にどんな暮らしになるのか」
という部分です。
立場が違えば、同じ家でも見る場所が違う。
だからこそ、両方の視点を持ったうえで買った方がいいんです。
「700万円安い家」と「700万円得する家」は、同じではありません
中古住宅サイトを見ていると、どうしても価格に目がいきます。
300万円安い。500万円安い。700万円安い。
その数字は魅力的です。私だって、気になります。
でも、
「700万円安い家」と、「700万円得する家」は、同じではありません。
大切なのは、
なぜ700万円安いのかを知ったうえで、それでも欲しいと思えるか。
です。
そして予算は、最低でも二つに分けて考えてください。
「暮らしを良くするためのお金」と、「この家で安心して暮らすためのお金」。
前者に700万円使える家なのか。実際には後者でほとんど消えてしまう家なのか。
そこまで分かって初めて、その中古住宅が本当に「安い」のか、判断できます。
安い家を探す前に、「買っていい家」を探す
気になる中古住宅を見つけたら、すぐに購入を決める必要はありません。
その前に一度だけ、
「リフォームする側から見ると、この家はどうなんだろう?」
と考えてみてください。
どんなリフォームができそうか。どこにお金がかかりそうか。契約前に何を確認した方がいいか。
そして、本当にこの物件を買うべきなのか。
そこまで分かったうえで選ぶ方が、中古住宅購入の失敗は減らせます。
気になる物件は、リフォームのプロに相談してから買う。
私たちがここまで言えるのは、
不動産だけでも、新築だけでも、リフォームだけでもなく、
「家を手に入れるところ」から「その家で暮らし続けるところ」まで見ているから。
家を売ることでも、工事をすることでもなく、
その先にある、「この家を選んでよかった」と思える暮らし。
家づくりに期待するお客様の想い。そこから逆算して、中古住宅を見る。
それが、私たちの考えるリノベ+中古住宅選びです。
さあ、やることは明確です。まずは、相談から。